これまで何度も述べてきたが本当の問題は低賃金でも格差でもない「ガクレキ」こそが問題なのだ。 格差など別に問題ではない―――それはどういう事か説明しよう。 要はビルゲイツのような一部の金持ちなどどうでも良いのだ、貧乏人も豊かになり、金持ちは「それ以上の速度で」豊かになる、結果として差が広がったとしても、社会全体が豊かな方向に向かっている限りは、それほど文句は出ない。 (むしろ下手に「革命を起こそう」などと考える方が大変な結果を招く) だが金持ちはますます金持ちになって行く一方で、貧乏人はますます貧乏になって行くならば、つまり「向かう方向が違う」ならば不満が爆発する。 幸い現状はそうなってはいないが、将来そうなって行く可能性がある。 私が言わんとしているのは「その可能性の芽を摘む必要がある」という事である。
このような社会ではいくら金があっても足りない。 春闘も賃上げも焼け石に水「教育ビンボー」である。 高度経済成長の時代はまだそれでも良かった。 毎年春闘を繰り返し、それで賃金が上がり、経済成長が実感できたのだから、それはそれで幸せだった。 だが低成長時代の現在では、終身雇用・年功序列が崩壊し「教育ビンボー」は少子化に直結する。 そして少子化は年金制度を破綻させる。 年金制度が破綻して行き着く先は姥捨て山だ。 それは国家が滅びるに等しい。 国民を不幸のどん底に突き落とすのは、格差でもなければ、学力低下でもない。 第1章でも述べたが、教育コストの野放図な増大「教育ビンボー」が国を滅ぼす。 今後は格差よりもむしろ「ガクレキをどう始末するか」が課題となろう。
格差なんて別に問題ではない。 格差なんて言葉に惑わされてはいけない。
日本以上に格差のある国は世界にいくらでもあるし、日本だって江戸時代はもっと格差があった。 別に勝ち組になれなくても、セレブになれなくても、貧乏なら貧乏なりに、幸せに生きる道はいくらでもある。 私のような「コンピュータプログラマ=下流」にとっては、むしろ「格差是正」を口実に「中流=年功序列のオヤジ」が息を吹き返す事の方が憂鬱である。 今後は賃上げよりもむしろ「低賃金でもやって行ける真に豊かな社会」を目指すことこそが重要課題であり、むしろ「賃金を引き下げ適正化する」事を考えねばならない。 格差そのものを問題とするのではなく、本当にふさわしい人間が、エリートや指導者になっているか、厳しくチェックし絞り込む事もまた大切だ。 そしてふさわしくない者は容赦なく引きずりおろす。 それを格差社会というなら、むしろ格差社会大賛成である。 格差社会などというと、セレブの生活が話題になったりするけれども、そんな一部の金持ちなどどうでも良い。 問題は「平均がどこにあるか」である。 中流層が大量に引きずりおろされる事によって、平均が下がり、下流との差が縮まって行く。 それは見方を変えればむしろ良い傾向であり、当然の成り行きであり、より平等に近づいているともいえる。 必ずしも悲観するような悪い方向ではなく、うまくやればむしろ良い社会を作ることが出来る。 ただ同じ平等でも、中流を引きずりおろすのではなく、下流を引き上げてはどうだろうかと考える人もいるだろうが、それは無理である。 どれぐらい無理かというと、石油を燃やしてその熱で海の水をすべてお湯にするぐらいに無理のある事である。 そもそもコンピュータプログラマでさえ下流の時代に、特別な才能があるわけでもない人間を安易に中流にするなど決して許してはならない。 それは社会の歪み以外の何でもない。 そもそも中流なんていうのは、年功序列があってこそ成り立つ階層である。 芸能人にしろ、ミュージシャンにしろ、画家にしろ、野球選手にしろ、芸人にしろ、要するに売れるか売れないかの二者択一でしかない。 人間社会には、基本的に上流と下流の二階層しかない。 昼の仕事、堅気の仕事である限り、濡れ手で粟のようなうまい仕事はまずない。 もしあったとしても、皆が殺到し、競争が激化し、需要供給の法則により、値下がりするのが経済の常識である。 中流なんていうのは、本来は存在しないし、存在してはならない階層である。 もしも無理に「中流」を作り出そうとすれば、それこそ下流の人たちの犠牲、搾取の上に成り立った中流という事になる。 政治家の中には「全国民を中流に引き上げる」などと言う人もいる。 だが中流なんていうのは下流がいてこその相対的な存在であり、みんなが中流になれば、それは即ち下流である。 もちろん科学技術は進歩しており、数十年後の下流は今の中流以上の生活レベルに達しているという事はあり得るかも知れないし、そうあって欲しいが、あくまでも社会階層として見る限り、下流は下流である。 私は、格差社会というものを前向きにとらえている。 セレブや成金など一部の金持ちを羨むよりも、まずは自分たちの生活・社会制度を見直す良い機会ではないか? (無駄をなくし賢く生きようではないか!)格差社会といっても、やり方次第でむしろよい社会が作れる。 今はそのための変革期と捉えることが出来る。
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