前項では、高すぎる賃金は、円高同様、産業・技術の空洞化・海外移転を招き、ものづくりに悪影響を及ぼし、ひいては職業差別にまで発展する事について述べた。 ではなぜ日本の賃金は高すぎるのか? それは労働組合だけのせいではない。 年功序列のオヤジが何人もの息子を大学に行かせる=家父長制度・ガクレキ封建体制がはびこっているからだ。 これではいくら金があっても足りない。 春闘も賃上げも焼け石に水である。 つまり高学歴化による教育コスト増大、賃上げ圧力が、賃金を高騰させ、労働組合の強い大企業と中小企業の格差を生み、さらに産業・技術の空洞化・海外移転を加速し、また一方では少子化の原因ともなっている。 諸悪の根源は格差でも、学力低下でも、弱肉強食の資本主義でもなく、誰もが息子を大学に行かせようと見栄を張る「ガクレキ封建体制」にあるのである。 国民を苦しめているのは弱肉強食の資本主義なのか? 実はそうではない。 資本主義は何も悪くないのである。 クルマもコンピュータも医薬品も、一定以上の資本が集まって初めて生産・販売が可能になるのだ。 こうして我々は皆、資本主義の恩恵を受けているのである。 「格差」を是正しようとしても本当の解決にはならない。 その理由を説明しよう。 そもそも下流の人たちすべてを中流に引き上げる事など出来ない。 仮にやろうとしても中途半端な結果に終わるのは目に見えている。 もし中流が増えたら物価の水準が上がってしまって下流が苦しむことになる。 「下流」を引き上げる事よりも「中流」を引きずりおろす事の方が重要である。 特に下請けに丸投げし「形だけ管理」をやっているような連中は、その能力を厳しく問いなおし、下請けと同等かそれ以下に賃金水準を引きずりおろす必要がある。 引き上げるよりも引きずりおろす方が速いし現実的である。 もちろん中流だけでなく上流だって、ふさわしくない者は引きずりおろす。 格差是正というと「引き上げる」というイメージを抱く人が多いが(嫌な言い方かも知れないが)「引きずり下ろす」が正解である。 これからは「中流」はなくなり「ますます少数に絞り込まれたエリート」と「大多数の凡人」という社会になって行くだろう。 それを「格差」ととらえるか「平等」と捉えるかは、考え方次第である。 コンピュータプログラマ(=下流)である私なんぞは、むしろ邪魔な中流(=大企業勤めの年功序列のオヤジ)がいなくなって行くのは、むしろ喜ばしい事なのだが!
「格差是正」といっても「賃金を引き上げる」という方向性は結局うまくいかない(そもそも経済の法則に反するようなやり方はダメである)「引きずり下ろす」が正解である(中国・ベトナム並みとまでは言わないが、もう少し身の丈に合ったレベルにまで引き下げ、適正化する必要がある)
国民の幸せのためには「賃上げ合戦」はむしろやってはいけない(給料が倍になっても物価が倍になれば結局同じ、むしろ貯金の価値は半減する)それよりも「生活のムダをなくす」が先決「低賃金でもやって行ける真に豊かな社会」を構築する事である。 ただ生活のムダをなくすといっても、個人レベルでチマチマ節約するとかいう話ではない(それで消費が落ち込んだらますます経済はダメになる)。 社会制度としてそれを考える事だ。 その鍵は「税制度」にある。 まず「学歴税」を導入し、
そうすれば親の負担は激減し、教育問題も、少子化問題も、年金問題も一発で解決し、生活はグーンと豊かになり、教養あふれる生涯学習社会がやって来る。
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