それから約二十年後、高校生の娘がある日泣いて帰ってきた。 進路指導で担任の先生から「高卒なんか相手にされなくなる」と言われ、系列の大学に入ることを強く勧められたのである。 私は、娘を大学に行かせる気などさらさら無くて、高校卒業後は、パソコンスクールと自動車教習所に通わせ、就職させる気でいた。 その事は学校にもはっきり伝えていた。 家庭の事情もあるのに、よくも「高卒なんか相手にされなくなる」などと無責任に言えたものだ。 系列大学からノルマでも課せられているのか、と思わずにはいられなかった。 今の時代は大学を出ても就職できるかわからないし、専門性が生かせる仕事に就けるかもわからない。 ましてや思い通りの収入が得られるかなどとうていわからない。 そんなことであれば高卒と大して変わらない。 ならば費やした金と時間を考えれば大学進学はマイナスである。 そこで私は以前に電話して来たサムライ商法の業者を思い出した。 彼だったらどう言うだろうか? たぶんこう言うだろう。 「そんな三流大学ではダメだ、もっと一流の大学、東大を出なきゃダメだ」しかし、たとえ東大を出ても就職できるかわからないし、専門性が生かせる仕事に就けるかもわからない。 ましてや思い通りの収入が得られるかなどとうていわからない。 もしそうなったらどうしてくれるのだ。 すると彼は次にこう言うだろう。 「東大ではダメだ、これからの時代、ハーバード大学を出て、グローバルな視点で活動できる人間でないとダメだ」要するにきりがないのである。 こうやって親は限りなくカネを搾り取られて行くのである。 以上これは「学校だってサムライ商法」という話だが、インターネット等を調べて行くと、さらに恐るべき話を耳にした。 | |||
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