第3章 少子化・年金問題はこうやって解決する

3−9 子供にムチを選択させよ

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 前項では「体罰禁止」よりも「自由競争」をちゃんと機能させることが重要であると述べた。
しつけと称した虐待を行う親がいるからと言って、しつけそのものを否定はできない。
また虐待は、肉体的なものだけでなく、精神的なものもあり、それらも軽視はできない。
ところでなぜ私は「自由競争」にこだわるのか、それには理由がある。
 そもそも、どこまでが愛のムチで、どこからが虐待なのか、そのすべてを法律で定義する事はできない。 たとえば民法が改正され、第820条に「子の利益のために」という文言が追加されたが、これで虐待はなくなるだろうか? そもそも「子の利益」とは何なのか「一流大学に入り大企業に入社する事が子の利益」と信じ込んでいる親が、子供を叱りつけ、尻を叩くのは合法なのだろうか? このような問題は、親権に「自由競争」を導入すれば(裁判所の判断を待つまでもなく)迅速に対応可能である。

 虐待を防ぐには、親権から懲戒権を削除すれば良いという意見もあるが、それには反対である。
たしかに厳しすぎる躾が原因で殺人事件も起きているが、では叱らない教育が良いのかというと、それはまたそれで野放図に育った子供が殺人事件を起こす、どっちもどっちである。
要は「行き過ぎた躾をなくす」「教育虐待をなくす」ことに注力すべきであり、そのためには「親権の独占」をやめ「自由競争」「市場原理」を導入すればよい。 私自身の体験からしても問題の本質は、

@ 自分の親が異常な親だと分かっても、子供の側から関係を断つ事が出来ない、
A 現代は高学歴社会ゆえに、それだけ長期にわたり「毒親の」お世話になるしかない、

の2点である。 子供が親権を選択できるようになれば、これらの問題は解決する。
だがその一方で、子供が親権を選択できるようになれば、親は叱れなくなり、甘やかしにつながるのではないかと懸念を抱く人もいるだろうが、それは杞憂に過ぎない。
わがままが過ぎれば、引き受けてくれる子供ホームが、なくなるだけのことである。

いずれは転職サイトのように、条件を入力すれば、一覧表示されるようになるだろう。

さらに一方では「子育てに資本が参入すると、それこそ利潤追求、金儲けに育児が利用されるのではないか」と心配する人もいるだろうが、どうだろうか? 現行の養護施設や里親だって補助金目当てでないとも限らない。 むしろ金儲けであっても一向に構わないと私は考える(外国には神父による児童虐待事例もあり、むしろ慈善家ぶった奴の方こそやばいという印象がある)。
要は子供が「自分に合ったムチ(=親権)を選択できるかどうか」という点にかかっている。
あまりひどい搾取をすれば他へ行くだけの話である。
すべては自由競争・市場原理に任せるのが正しいやり方である。

悲惨な虐待が後を絶たない一方で、虐待していないにもかかわらず、虐待を疑われ、親子が引き裂かれる悲劇もありうる(痴漢がいれば痴漢冤罪があるように)。 そのような場合でも「子供に親権を選択する権利がある」と法律に明記されていれば裁判所がそれに基づき判断出来る。

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